ゴールデンウィークは車で岩手県の盛岡まで10時間の旅。
2年ほど前に東京から盛岡へ移り住んだモノクロフィルム専門の出張写真館「POND HOUSE」を営む、
夫の写真学校時代の後輩夫婦に会いにふらっと行ってきました。
池のほとりにあるので「POND HOUSE」。
スタジオからはキラキラ光る池の水面が見えるほどの近さで、
東北道を下っている間から「なんだ!あのカッコ良い山は!!」と騒いでいた岩手山も
池から拝むことができ最高のロケーションでした。
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「POND HOUSE」写真館はモノクロで、フィルムで、手焼きで。
一見時代に逆行しているようですが、二人の暮らしの隅々に丁寧さときめ細やかさが溢れていて
楽しく撮影、暗室作業してるんだな〜と納得できてしまう。
「手間暇かけて」という言葉がぴったりな一連の作業がしっくりくる二人。
東京にいた時よりも活き活きとした暮らしを垣間見た気がしました。
静かで美しい景色に囲まれて、しっかりと地域に根を張っている姿がとても眩しかったです。
その日は池の周りではしゃぐ我が家の子どもたちを夫とPOND HOUSE夫妻の三人のカメラマンが
ぞろぞろ追うという面白い光景でした。
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2011年の大震災以来、
いくぜ東北!と思ってもなかなか行けなかった場所。
私は父方にも母方にも東北にルーツがあり幼い頃に訪れた時には、
あまり歴史のない北海道の住宅地育ちの自分には景色も町並みも美しく
衝撃を受けた記憶があります。
今回、東北は長い冬を終えて新緑の芽吹き出すシーズンでどこを見ても
息をのむ美しさでした。
東北道下りの白河を過ぎたあたりからのキラキラした景色、光る瓦と新緑と水田。
遠景はどこを見ても白い山の頭が顔を出して
これぞフローティングマウンテンだー!と騒ぎまくる車内でした。
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秘湯の宿に2泊して雪に触れたり星を見たり、東北の素晴らしさがすっかり身にしみましたが、
帰りの常磐道で見た汚染土の積み上げられた風景。
浪江から常磐富岡間、一気に上昇するモニタリングポストの値。
車窓左側に海が見えるかなと思った一瞬、霞んで見えたクレーン車の群れ。
こんなに綺麗な森。林。
見えるものと見えないもの、という言葉を何度も心の中で繰り返していました。
震災直後がら被災地で毎年撮影を続けている、主人の友人カメラマンがいます。
物語を語るわけではなく、悲しい嬉しいをいうワケでもない。報道、ドキュメンタリーの視点。
見ること。撮ること。残していくこと。
肉体的にも精神的にも強さが必要で簡単なことではないだろうと思いますが
伝える人がいなくなったら、と思うと怖くなります。
今を残すこと。嬉しいとき綺麗なものだけではない。
写真家たちにできることってたくさんあって、そしてそれぞれかたちは違うけど
共通した思いがあるなと思った今回の旅でした。